秋の掛軸

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秋の掛軸とは

掛軸。季節は秋。季節もの掛軸の中でも秋の掛軸は深い熟成を象徴する色合いの葉色などが美しいですね。

秋の和歌などを掛けても風流ですが、ここでは、代表的な画題(絵柄)を取りあげてみます。

季節の節目である「重陽(ちょうよう)の節句」では、寿命が延びるといわれていた菊の掛軸を掛けて邪気を払い、不老長寿や繁栄を願います。

この章では、季節の春夏秋冬の四季のうち、秋の掛軸を選ぶ参考にして頂くことを目的として、秋の掛軸の種類や選び方と共に、12ヶ月の掛軸で挙げた具体的な画題(絵柄)の抜粋と、秋の掛軸はいつ、どんな時にかけるのか、また、秋の特徴的な情感として感覚描写(センス)の一例を挙げ、商品の一部わご紹介していきます。

(画像) 掛軸 池野扶其

南京櫨(なんきんはぜ)

秋の風物詩

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金木犀(きんもくせい)の甘い香りがするころ、風雅な観月を取り入れた十五夜があります。

秋は行楽の季節でもあります。紅葉狩り(もみじがり)や秋の七草を見て歩いたりして楽しみます。

(画像) 掛軸 宮本昌雄 錦秋讃果

季節もの掛軸

四季折々。春夏秋冬。秋。ここでは、季節掛けの四季のうち、秋にかける掛軸として紅葉(こうよう・もみじ)、菊(きく)、萩(はぎ)の掛軸をご紹介します。

秋の掛軸の種類

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秋の掛軸の種類には、四季の移り変わりによる草木や樹木などの紅葉、実りを感じさせる果実などがあります。

秋の季節の風雅ただよう詩歌の掛軸は味わいがあります。季節に合わせた秋の禅語を選んでかけるのも良いですね。秋のお彼岸には名号掛軸を掛けます。

季節の節目に邪気を払う節句の掛軸としては、9月9日の『重陽(ちょうよう)の節句』の掛軸があります。

(画像) 掛軸 塚下静庵 秋柏

秋の掛軸の選び方

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たくさんの秋の掛軸の中から最良の一幅(いっぷく)を選ぶとき、何を基準に選べばよいのでしょうか。すべての条件を満たす必要はありませんが、いくつか挙げてみます。

先ず、秋の掛軸を掛ける目的を明確にします。床の間を華やかにしたい時や、豪華にしたい時は装飾性の高い画題(絵柄)を選びます。深い味わいを好む場合は「詫び寂び(わびさび)」の美意識を踏まえた秋の掛軸を選びます。

四季に合わせた季節の掛軸は、季節もの掛軸の章でも触れたように、画題(絵柄)の時期より少し早めに掛け、潔く引く。早々に新しい季節を迎え入れる。その頃合いが大切です。

五節句の内の「重陽(ちょうよう)の節句」などの秋の行事や風物詩をうまく取りいれると季節感も増します。

もてなす相手の状況をよく知り、お祝いしたいのか、励ましたいのか、共に思い出を共有したいのかといった迎えいれる目的を明確にし、選ぶ秋の掛軸の画題(絵柄)が即したものかを吟味します。

更には、目的に合わせて選んだ秋の掛軸が秋の情感をたたえたものが望ましいでしょう。

(画像) 掛軸 安野恵美 紅葉

 

秋の情感

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「秋風に たなびく雲の たえ間より もれいづる月の 影のさやけき」(左京大夫顕輔) 秋風に吹かれてたなびいている雲の切れ間から、もれでてくる月の光は、なんと清らかで澄みきっていることであろう。 さわやかな歌ですね。小倉百人一首でもよく知られています。

「もののあわれ」という自然観があります。何を美しいと感じ、何に情感を見いだすか。どのような行いに「粋」をあらわし、人や自然とのふれあいに忘れえぬ一瞬を心に刻ませるのか。

あふれでる思いと潔い引きの間には、「俯瞰(ふかん)」を経て辿り付く「達観(たっかん)」の美があります。

「詫び寂び(わびさび)」という美意識もあります。不足の中に充足を見いだそうとし、閑寂の中に奥深いものを感じる。

「詫び」という不完全さを受け容れる内面的な豊かさ、「寂び」は外見的に枯れたものに本質の美を見いだします。 寂しい様子や感情は「精神的な豊かさ」と捉えられます。

秋とは日ごろ忘れている何かを呼び起こします。心の置きどころを美しい自然にゆだねる人もいるでしょう。 深い思いに耽る(ふける)ことは癒しをもたらします。

人はたくさんの事がらと巡り合い、さまざまな人と出会います。「袖振り合うも多生の縁」といわれます。

気にもとめないこと、通りすぎてゆく人、気になって仕方がないこと、絆を結ぶ人。

雲の切れ間から見た月の光も、明け方に見た美しい花も、すれちがった人も、すべては偶然だったのでしょうか。

秋の掛軸にはしみじみとした「味わい」があります。季節もの掛軸の中でも特に秋ものは「情感の美」を意識して選びたいものですね。

(画像) 掛軸 辰本青花 秋景色

紅葉(こうよう・もみじ)の掛軸

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紅葉の掛軸は9月から11月頃まで掛けます。北の国からすこしずつ南の国へとひろがる葉の色づき、赤色にかわる「紅葉(こうよう)」、黄色にかわる「黄葉(こうよう)」、褐色にかわる「褐葉(かつよう)」がありますが、これらのすべてを「紅葉」とされたりもします。

万葉集で歌われている紅葉とは、「黄葉」がほとんどです。「もみじ」は名詞ばかりではなく、葉の色づく過程や様を動詞の「もみづる」としても使われていました。

「手折(たお)らずて 散りなば惜しと 我が思いし 秋の黄葉(もみち)を かざしつるかも」(橘朝臣奈良麻呂)

手折らずに散ったら惜しいとかねがね思っていた秋のもみじを髪にさせました。

葉の散りゆく姿は盛りを過ぎた状態ではなく、盛りの状態として詠まれました。「手折る」や「かざす」という言葉がそれをあらわしています。

紅葉の掛軸は秋ものを代表する画題(絵柄)です。緑の葉が黄から山吹の濃淡、紅の濃淡へとかわるどの色づきも綺麗です。

菊の掛軸

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菊のは9月から11月ごろまで掛けます。菊の花は日本の秋を象徴する花といえます。

大菊の気高さ、糸菊の繊細さ、小菊の可憐な愛らしさ。白、黄、紫、紅色と綺麗な花を咲かせてくれます。

「隠逸花(いんいつか)」という別名をもちます。

「暗闇でも、その清らかな香りでそこに菊があることがわかる。」という意味です。

「四君子」のひとつであり、秋の花として晩秋の寒さの中で鮮やかに咲くすがたが好まれました。中国で君子とは徳と学識、礼儀を備えた人を指しました。蘭、竹、菊、梅の4種の持つ特徴が、高い気品をたたえ、まさに君子の特徴と似ていることから、文人たちはこれらの花に美しくあるための力量と心構えを習いました。

国の花でもあるこの花は、鎌倉時代の後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)が調度品の意匠(いしょう)として菊文様を用いたことから、菊花紋章となり、皇室の紋になったといわれます。

菊の節句とよばれる「重陽(ちょうよう)の節句」では、寿命が延びるといわれていた菊を据え、栗ごはん、秋茄子(あきなす)、食用菊のおひたしや吸い物をいただき、膳と一緒に菊酒を嗜みます。菊湯に入り、菊枕で眠り、邪気を払います。菊に綿をかぶせ一晩おき、花の香りと露を含んだ綿で身を清める「菊の着せ綿(きくのきせわた」で、不老長寿や繁栄を願う行事が行われます。

菊の掛軸は「重陽(ちょうよう)の節句」にも掛けられ、美しい秋を象徴し、清らかな気品をたたえてくれます。

(画像) 掛軸 内田逸郎 「菊」

桔梗(ききょう)の掛軸

桔梗の掛軸は6月から9月頃まで掛けます。桔梗の蕾(つぼみ)は紙風船のように膨らんで可愛らしいですね。星形の青紫や白い花を咲かせます。

萩(はぎ)、芒(すすき)、撫子(なでしこ)、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)女郎花(おみなえし)と共に、秋の七草とされています。清楚なすがたが日本文化に馴染み、茶花としても愛されています。

「吉」と「更」という字をふくむことから、「更に吉」として、「桔梗(きちこう)」ともよばれ、掛軸でも縁起のよい花として好まれています。

(画像) 掛軸 北上聖牛 桔梗

そのほかの秋の掛軸

そのほかの秋の掛軸には芒(すすき)、桔梗(ききょう)、竜胆(りんどう)、萩、女郎花(おみなえし)、蔦(つた)などがあります。

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