金継ぎの歴史

金継ぎとは

金継ぎ(きんつぎ、Kintsugi)とは、日本の伝統的な美術修復技術で、壊れたり、ひび割れたりした陶器や磁器の修復に用いられます。
この技術では、割れたり欠けたりした陶磁器の破片を金や銀、または他の貴金属を用いて修復し、美しい装飾的な効果を持たせます。
金継ぎの技術は、修復された対象が以前の破損箇所よりも美しく、独自の価値を持つことを強調しています。
破損した陶器や磁器を修復し、対象をより価値あるものにするために使用されました。金継ぎは、対象を廃棄せずに再利用する方法として発展しました。
その美学と哲学は、美しさと破損の結びつきを象徴的に示すものとして評価されます。この修復技術は、破損や過去の歴史を否定せず、むしろそれを認めて賞賛する美学を体現しています。
この考え方は「継ぎ」(つぎ、tsugi)という言葉にも反映されており、過去の歴史や経験を継続していくことを示唆しています。

金継ぎの美学では、修復箇所が目立つことをむしろ受け入れ、強調します。壊れた部分が金や銀の輝きを持ち、過去のダメージを誇示し、価値を高めると考えられています。これは「わびさび」と呼ばれる日本の美学の一部です。

金継ぎは、対象が過去の傷を持ちながらも美しさと価値を持っていることを象徴しています。これは、人生の中での試練や困難を経ても、過去の経験が個々の人々をより価値ある存在にすることを表現しています。

金継ぎは日本の美術や文化の一部として高く評価されており、現代でもアートとして広く愛されています。また、この技術は他の文化にも広まり、陶器や磁器の修復において新しいアプローチやアイデアを提供しています。

金継ぎは現代においても芸術や修復の形式として広く愛され継承されています。陶芸家やアーティストは、金継ぎをアート作品の一部として取り入れ、美的な価値を高めています。
また、金継ぎは破損した陶磁器を修復し、長寿命を持たせる実用的な方法でもあります。

金 継 ぎ 部 分
修 復 前
修 復 後

金継ぎの修理工程

金継ぎの修理工程は以下の通りです。

金継ぎの工程において、漆や膠が重要な役割を果たします。

膠の使用は、金継ぎにおいて伝統的かつ重要な要素であり、その強力な接着力や柔軟性が、陶磁器や磁器の修復において優れた結果をもたらします。

修理に際しましては工程に精通している代表の漆原がみずから職人とやりとりしています。

1. 破損部の清掃と準備

金継ぎの最初の段階では、壊れた陶磁器の破損部分を綺麗に整え、継ぎ目を作ります。

破損した部分が清掃され、修復のために準備されます。

この段階では、古い接着剤や汚れが除去され、膠のしみ込みを最適化します。

2. 継ぎ目の切り出し
修復箇所の周囲に継ぎ目が切り出されます。

この際、切り出された部分には、後の段階で膠がしみ込むようになっています。

3. 膠(にかわ)の使用

接着には伝統的に膠(動物の皮や骨などを煮つめた汁)や漆などが使用されます。

膠は、動植物由来の接着剤であり、金継ぎにおいて非常に重要な材料です。

この膠やを使って破損部分を接着します。

膠は、動植物由来の接着剤であり、金継ぎにおいて非常に重要な材料です。

膠は漆と組み合わせて使用され、緻密で強力な接着力を提供します。

漆と膠が混合され、破損した部分に均等に塗布されます。

この膠は強力で耐久性があり、修復部分を確実に保持します。

4.金箔の使用

膠が硬化する前に、金箔が修復部分に貼り付けられます。

この工程においても、膠は金箔がしっかりと付着するように役立ちます。

これが金継ぎの最も特徴的な要素で、修復された部分が

金色に輝いて美しく飾られます。

5.乾燥と磨き

膠と漆の混合物が塗布されたら、十分に乾燥させます。乾燥後、表面が滑らかになるように慎重に磨かれます。この段階では、膠が漆と金粉を一体化させ、修復箇所が堅固でなめらかな仕上がりとなります。

6.金継ぎの仕上げ

金箔が貼り付けられた後、修復部分が研磨され、均一な仕上げが施されます。

金継ぎがほぼ完成した段階で、最終的な仕上げが施されます。修復箇所が他の部分と調和し、統一感が生まれます。仕上げにおいても、漆と膠が作品全体を美しくまとめ上げます。

これにより、金継ぎの修復が完了し、新たな美しさが陶磁器にもたらされます。

金継ぎは、物の価値を再評価し、修復プロセスを通じて美しさを見つける芸術的なプラクティスとして高く評価されています。

これは、破損や過去の経験を受け入れ、尊重する方法としても捉えられており、破損した物品が新たな命を吹き込まれる過程でもあります。

金継ぎは、日本の文化に根付いている美的価値観を体現し、修復された陶磁器は、独自の歴史と美しさを持つものとして愛されています。

 

※金継ぎは様々な工程を踏むため修理に期間を要します。

期間についてはお問い合わせください。

※配送には細心の注意を払っておりますのでご安心ください。

金継ぎが流行した時代背景

金継ぎの歴史は、15世紀の日本で始まりました。その正確な起源は分かっていませんが、一説には室町時代(1336年-1573年)の茶道具修復にまで遡ると言われています。
茶道の実践者たちは、美意識と簡素さを重視し、金継ぎが陶磁器や磁器の修復に用いられたのは、この美的価値観に合致していたからと考えられています。
「金継ぎ」は、日本の歴史における重要な文化的概念で、特に戦国時代、安土桃山時代、江戸時代初期に関連しています。以下にそれぞれの時代での金継ぎについて説明します。

◆戦国時代(1467-1615)
戦国時代は、日本の戦国大名や武将たちが権力を争った時代です。この時代には、陶磁器や茶道具などの美術品が非常に重要で、金継ぎがよく行われました。
金継ぎは、割れた陶器や磁器を修復する技術で、欠片を金や銀でつなぎ合わせて、美しさを保つことが目的でした。これは、修復物に対する尊敬と美意識を表す象徴的な行為としても知られています。

◆安土桃山時代(1573-1603)
安土桃山時代は、戦国時代の末期に続く時代で、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの大名が力を競い、日本を統一しました。
この時代にも金継ぎが盛んで、特に茶道具や陶磁器の修復に使用されました。茶道はこの時代に発展し、茶碗などの道具は高く評価されました。

◆江戸時代初期(17世紀初頭)
江戸時代は、徳川幕府が日本を支配した時代で、平和と安定がもたらされました。この時代にも金継ぎは続けられ、特に茶道具や美術品の修復で使用されました。江戸時代の陶磁器や美術品は、金継ぎを施すことで、それらの価値を高めました。

金継ぎは、日本の文化や美的価値観において重要な役割を果たし、割れたものを修復し、新たな美しさを持たせる技術として、今日でも高く評価されています。

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