季節もの掛軸
季節もの掛軸とは
四季のおりおりを楽しみ慈しむ。季節を愛でるとはどのようなことでしょうか。自然の事象を受けいれ、共に暮らす。気候にあわせて着衣を備え、旬の食材を頂く。雨風をしのぎ住まいを整える。
日本の美術は住まいから発展したといわれます。風を防ぎ、間仕切りとされた襖や屏風など用と美を兼ね備えたものが多く見受けられますが、掛軸もその中の大切なひとつです。
表装の一部である風帯という部位も、日本では観賞するためのものでしたが、中国では「払燕(フツエン)」と呼ばれ、燕よけのためのものでした。それでも、各部位は、天・月・風など自然界を表す芸術性もあります。
本来、仏画を拝する道具であった掛軸は、その携帯性により仏教の布教に貢献しました。又、それぞれの国の文化と融合し、時を経て自然の風雅を楽しむまでに発展しました。
その過程の中で、目的や用途にあわせ、花鳥画や美人画、山水画、書画など、様々な画題が取り入れられました。
季節にあわせた掛軸は、お選びになるに際し比較的決まり事も少なく、扱い易いものです。画題の時期より少し早めに掛け、潔く引く。早々に新しい季節を迎え入れる。その頃合いなどを見計らえば粋にも風流にもなります。
同じ場所、同じ種から咲く花も、二度と同じ花を咲かせることはありません。一見、まったく同じように見えたとしても、それは時とともにうつろいゆく自然界の事象により変化した別の花です。
花を生ける際、自然の草木の枝ぶりをいかすのは難しいといいます。自然がもたらすありのままの優しさ、厳しさ、寛容さを受け容れ、暮らしに取り入れ、季節の移り変わりを身近に感じて発展してきた日本の文化には、失われてゆくものへの美を知る慈しみに溢れています。
時々の節目を祝い、もてなす心尽くしには、事無く同じ季節を迎えられた喜びを分かち合うお互いへの思いやりがあります。
掛軸を介して、大切な方からの心を受け取り推し量る姿勢は、受け取った方が次の世代に受け渡し伝わっていきます。
掛軸にはその他にも様々な作用があります。見る人の心を静かにまとめ、落ち着かせる。知己を慰め鼓舞することもできます。気持ちを新たにし、律する。思い出を呼び起こし、安らぐこともできます。その世界観は、私たちに何かを悟らせ、人々の目と心を開かせるものです。
海外でもこのコミュニケーションツールとしての役割、リラクゼーションの役割について着目されています。
また、ただ楽しむ。それもよいかもしれません。むしろそれが王道なのかもしれません。
季節もの掛軸 商品
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春の掛軸
春にかける掛軸には、春の季節に合わせた画題(絵柄)として、梅(うめ)、桜(さくら)、桃(もも)、牡丹(ぼたん)、菜の花(なのはな)、藤(ふじ)、躑躅(つつじ)、春蘭(しゅんらん)、木瓜(ぼけ)、木蓮(もくれん)、お雛様、(おひなさま)、鯉のぼり(こいのぼり)、兜(かぶと)、武者(むしゃ)などを飾ることができます。
(画像) 掛軸 中沢勝 三隅大平桜
春の掛軸 商品
夏の掛軸
夏にかける掛軸には、夏の季節に合わせた画題(絵柄)として、朝顔(あさがお)、鮎(あゆ)、川蝉(かわせみ)、百合(ゆり)、石楠花(しゃくなげ)、紫陽花(あじさい)、杜若(かきつばた)、燕(つばめ)枇杷(びわ)、芙蓉(ふよう)、撫子(なでしこ)、鉄線(てっせん)、露草(つゆくさ)、薊(あざみ)柳(やなぎ)などを飾ることができます。
(画像) 掛軸 出口華凰 雪中南天
秋の掛軸
秋にかける掛軸には、季節に合わせた画題(絵柄)として、紅葉(こうよう・もみじ)、菊(きく)、芒(すすき)、桔梗(ききょう)、竜胆(りんどう)、萩(はぎ)、女郎花(おみなえし)、蔦(つた)などを飾ることができます。
(画像) 掛軸 池野扶其
南京櫨(なんきんはぜ)
冬の掛軸
冬にかける掛軸には、冬の季節に合わせた画題(絵柄)として、梅(うめ)、南天(なんてん)、椿(つばき)、福寿草(ふくじゅそう)、水仙(すいせん)、山茶花(さざんか)、千鳥(ちどり)などを飾ることができます。
(画像) 掛軸 出口華凰 雪中南天
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