掛け軸の種類

掛け軸とは?

掛軸は日本の飛鳥時代(592-714)に隋または唐から仏教を荘厳する(飾る)ためのものとして伝来したとされています。

おそらく仏教に関係するものとして、原型が中央アジア辺りで発生し、それが古代の中国に伝わる中で掛軸の形になっていったのでしょう。    そういう理由から、伝来当初の掛軸の題材は道釈画(道教・仏教を題材とした絵画)がほとんどだったようで、そこから掛け軸には「掛けて拝する」という意味があらわれ、それが現代まで続いています。

元々仏教のためのものであり、当時最高級の舶来物だったのが、大陸での流行の移り変わりや日本の文化・居住環境の変化に合わせて時代とともに掛ける意味や飾り方が多様化し、種類別に異なる用途や目的のため、季節や場面にあわせて選ばれるようになります。

室町時代以降現代まで、畳の部屋にある床の間に掛けることが一般的となり、戦後、昭和の中後期には爆発的なブームもありました。

近年、都市部では和室の減少とともに板の間の壁に掛ける家も増えていて、これは平安・鎌倉時代に主流であった掛け方であることが興味深い現象です。

仏画(仏事)掛け軸

仏事の掛軸には、仏画や曼荼羅などの仏画、名号・経文などの書、蓮や蝶等仏教に関係ある絵画など、主に仏を祀るため、または教義をあらわすための掛物です。

現在では仏事の掛軸は弔事や年忌法要、お彼岸、お盆といった先祖供養の席で飾ることが多いのではないかと思います。用途に合わせて選びましょう。

寿ぎの掛け軸

多くは「ハレの日」のために飾る掛軸です。

祀りごとや儀式に合わせて御神号や神像、祭り、神話や神兆を表した軸を使います。

季節ものが多いですが、信心によって年中掛けにできる作品もあります。

お正月に旭日や紅白梅の絵の掛軸を掛けるのも広い意味での神事掛けです。

年中掛け

季節や行事に関係無く一年中掛けられる掛軸を年中掛け(または普段掛け)といいます。

四季折々に掛ける季節ものや節句・目出た掛けといった時期や用途が定まった掛け軸とは異なり、一年中楽しむ事ができるのが特徴です。

古くから山水がなどが人気ですが、[竹に雀] や [四季花] [ 四君子 ]など、華やかな題材も近年では人気があります。

季節掛け

本来、床の間の室礼(しつらい)には日本の四季にあわせて掛軸を掛け替える文化があります。

画題の実際の時期よりも少し前から掛けはじめ、その画題の旬が終わるより前に、ほかの掛軸に掛け替えるのが理想的です。

正月に年神様をお迎えするために門松を立てたり注連縄を飾るのと似て、今年もいつも通りにこの季節を迎えることができたという喜びをあらわしているのでしょう。

そういう理由からか、季節の花鳥にも縁起を求めたものは多いので、画題の縁起を思いながら軸を掛けるのも楽しいのではないでしょうか。

縁起物

縁起もの掛軸は、開運や魔除け、安寧祈願など、人生の幸福を願う軸です。

魔除けやめでたい意味のある赤富士や四神図。長寿の意味合いを込めた翁や寿老人・瓢箪など、年中掛けとして掛けられるものも多いです。

ほかにもご結婚の際に新しい夫婦の幸せを願う双鶴や高砂、年末を無事過ごせるよう「難を転ずる」の語呂で掛ける南天など、時期が決まった縁起物掛け軸も人気です。

節句掛け

人日(1月7日,七草粥)、上巳(3月日3,雛祭)、端午(5月5日,子供の日)、七夕(7月7日,たなばた)、重陽(9月9日,菊の節句)の5つを五節句と言います。

そのうち特に3月3日の雛祭と5月5日の端午の節句はそれぞれ女児・男児の健やかな成長を祈る年中行事として雛祭りは内裏雛、端午の節句は武者や鎧兜とそれぞれの幸せを祈って掛軸を飾ります。

節句飾りを人形など置物で床飾りする場合は、雛人形の背景には桃花の掛軸を、兜や武者の後ろには菖蒲を飾るなど、床の間全体で節句を祝うのも賑々しく家族中が嬉しいものです。

茶掛け

茶掛けは主に茶室に飾る掛軸です。

本席(茶をいただく部屋)と待合い・寄付き、点心席などそれぞれに床の間があり、それぞれ掛けるものが違います。    待合い・寄付きで掛けるのは画賛ものや四条派円山派などのあっさりした絵画を。

メインの本席には禅僧や茶人が書き記した書、特に禅語が多く使われます。

この禅の奥深さを顕す書を普段の掛物として掛けることも茶道の経験の有無を問わず人気です。