4月の掛軸とは

4月にかける掛軸は

卯月(うづき)。卯の花が咲く月とも。お花見のたのしい時期です。新しい年度がはじまり、子供たちには入学・進学などの式典があります。

4月8日には、お釈迦さまの誕生日である花祭り「灌仏会(かんぶつえ)」。花を依り代(よりしろ)にし、草花で飾った花御堂(はなみどう)に安置された、天と地をさす誕生仏に甘茶をかけたり、無病息災を願って甘茶を飲みます。

4月13日には十三参り(じゅうさんまいり)があります。肩上げした晴れ着姿は可愛いですね。厄を払い、知恵を授かります。

季節の掛軸は風物詩を感じるものを選びたいですね。

月の掛軸

12ヶ月。4月。ここでは、季節掛け12ヶ月のうち、4月にかける掛軸として桜、桃、春蘭、牡丹、木瓜(ぼけ)、菜の花、木蓮、躑躅(つつじ)、藤の掛軸をご紹介します。

桜の掛軸

桜の掛軸は2月下旬から4月頃まで掛けることができますが、やはり4月が一番ですね。

夢見草(ゆめみぐさ)、徒名草(あだなぐさ)などの別名をもち、そのハラハラと風に舞う花びらが美しく、儚くも潔い様は、日本人の精神にもたとえられます。

白、淡紅、濃紅色の花の色。一重のものや八重のものが咲く姿は、まさに桜花爛漫です。小鳥と桜をあわせた桜花小禽図もとても愛らしいですね。

また、幾度となく散っても年を越しては蘇る樹齢千年を超える桜も見事です。私たちの国の花であり、同窓の友や僚友と別の道を歩み、新しい友と出会う節目に咲くことから、祝賀や記念の式典の折りに桜の掛軸を掛けることで、特別な日が更に印象に残る日となることでしょう。

中沢勝 三隅大平桜

桃の掛軸

桃花の掛軸は2月から4月頃まで掛けます。

関西では桃の節句を旧暦で行う家も多いので桃花の掛軸の前に小さな雛人形を飾るのもおすすめです。

花色は白色、桃色、赤色があり、葉色の美しいものもあります。その咲き誇るすがたに桃源郷とはこのようなところかと浮世をはなれてみたくなりますね。

中国では神や仙人に力を与える木とされ、邪気を払うとされました。

ひな祭り「上巳(じょうし)の節句」に桃の花を飾ったのも同様の意味合いがあったため、桃の掛軸をこの日に掛けるとよいですね。

その果実は、日本神話や古事記の中でも魔除け、厄除けの意味を成しました。また、桃は兆の字の如きと、子に多く恵まれるともいいます。

辰本青花 桃の図

春蘭の掛軸

春蘭の掛軸は3月から4月頃まで掛けます。春蘭の花は横を向いて咲き、萼片(がくへん)と側花弁(そくかべん)は黄緑か緑でつやがあります。唇弁(しんべん)は白色で薄赤紫色の斑点があり、溝のようで縦にひだがあり、くるりと巻き込む。葉は細長く曲線を描く。野生種であり、その野趣や素朴さが好まれますが、そのすがたは凛としていて格好よく、あくまでも流麗で美しい。

「四君子」のひとつであり、春の花としてほのかな香りと気品をそなえるとされました。中国で君子とは徳と学識、礼儀を備えた人を指しました。蘭、竹、菊、梅の4種の持つ特徴が、まさに君子の特徴と似ていることから、文人たちはこれらの花に強い憧れを抱きました。

憧れる対象とは素晴らしすぎるもので、目指してもその境地にはなかなか到達しない。そこで文人墨客(ぶんじんぼっかく)は、そのすがたを散文、書画の題材にしてなぞらえました。

目を澄まし模倣することで、理想のすがたとの間に均衡を保ち心を浄化しました。春蘭の花が横を向いて咲くすがたは、気高い人がそっぽを向いているようで、どこか可愛らしいですね。

春蘭茶は桜茶と並んでおめでたい席には欠かせないものです。摘みたての春蘭を塩に漬け、お湯をそそいでいただくお茶とは何と風流でしょうか。その花は、日常でも和え物や天ぷらにしたり惣菜の添え物にしたりと、日々の生活を楽しませてくれます。

蘭湯(らんとう)は中国から伝わったもので端午の節句の日に春蘭の葉をいれて沸かした湯につかると邪気を払うとされ、菖蒲湯のはじまりといわれています。

春蘭の掛軸は、春のおとずれを告げ、人々の理想のすがたを表し、清々しい世界を見せてくれることでしょう。

 塚下静庵 春蘭

木瓜(ぼけ)の掛軸

木瓜の掛軸は3月から4月頃まで掛けます。和名は中国産のマボケの漢名である木瓜(ぼくか・ぼっか)から転じたともいわれます。花は白木瓜、緋木瓜、紅白絞りの更紗木瓜や、覆輪(ふくりん)のあるものなど趣があります。一輪の花に真紅の花、真白い花、絞りの花を咲き分けて楽しませてくれる日月星(じつげつせい)などがよく知られ、庭木や盆栽としても好まれています。

花言葉とは不思議なものですね。いつ、誰が、どんな意味でつけたのでしょうか。木瓜の花言葉は「先駆者」と「平凡」。いろいろな説がありますが、先駆であることも平凡であることも、なかなか辿りつけない素晴らしい境地ですね。

木瓜の掛軸は梅や桜のような気高さはなくても、ほのぼのとした愛らしさがあります。

菜の花の掛軸

菜の花の掛軸は3月から4月頃まで掛けます。菜の花とは食することができる花という意味です。菜種、蕪(かぶ)、白菜、芥子菜(からしな)の花です。成長過程で青菜から菜の花、そして菜種へと呼び名をかえます。この春をよぶ花は、食すと何とも言えない優しい味がしますね。

黄色い花の印象がありますが、大根などは白い花を咲かせます。もっとも、掛軸に描かれるのは殆どが黄色い花です。人々に愛されて俳句にもたくさん詠まれています。

「菜の花が しあはせさうに 黄色して」(細身綾子)

一面、黄色の菜の花畑は圧巻ですね。ほんとうに幸せそうです。

窪田正廣 菜の花

木蓮の掛軸

木蓮の掛軸は3月から4月頃まで掛けます。蓮の花に似ていることから木蓮と呼ばれるようになりました。紫木蓮と白木蓮、更紗木蓮、黄木蓮があります。花の香りがとてもよいです。一億年前の化石があり地球上で最古の花木といわれています。

木蓮は昔からたくさんの絵師に描かれ、俳句にも詠まれました。

「木蓮の 花ばかりなる 空を瞻(み)る」(夏目漱石)

目を大きく開いて木蓮が咲くはるか空を仰ぎ見る。木蓮の花は天に向かって直立します。

それは仏が両手を天にのばす姿に似ていることから仏手にたとえられます。

木本大果 木蓮

牡丹の掛軸

牡丹の掛軸は4月から6月頃まで掛けます。春牡丹、冬牡丹。二季咲きもあるのと格式が高い花のため正月や慶事などのめでたい日や、季節を問わず掛けることもできます。

富貴花、天香国色などの別名をもち、赤、紫、薄紅、黄、白色の花を咲かせるその花の美しさから、中国、また、わが国でも詩歌に盛んに謳われました。そして、多くの絵師に描かれました。

格の高い花の掛軸は、迎えるお客様に襟をただし礼をつくす心尽くしになることでしょう。

躑躅(つつじ)の掛軸

躑躅の掛軸は4月から5月頃まで掛けます。躑躅の花は白、真紅、黄、紫、躑躅色、赤い線や点々と斑(まだら)がはいる白い花もあります。花の色と新緑の対比が綺麗です。

咲き方も単色で咲くもの、白花の中に桃色の花が混ざる源平咲きもあります。

種類もたくさんあり、新玉(あらたま)、今様錦(いまようにしき)などもありますが、大紫躑躅(おおむらさきつつじ)がよく親しまれていますね。

花名の由来は、筒状の花を意味する「筒しべ」からとも、「躑(てき)」「躅(ちょく)」の字がいずれも「ためらう」という意味から、花の蜜が身に危ういことをしらせてくれる逸話を示したともいわれます。様々な説がありますが、その息を呑むような美しさには圧倒されます。

最も古いもので樹齢800年を超えると推定されるものもあります。平安時代には白躑躅(しろつつじ)と名づけた、表に生絹(すずし)の白、裏に紫を合わせた着衣で合わせ色目をたのしみました。もしかしたら、その時代の人が見た、同じ幹から咲く花を、わたしたちも見ているかもしれませんね。

尾形光琳などの高名な画家もこの花をとりあげ、沢山の文人がそのすがたを文章として描写しています。

藤の掛軸

藤の掛軸は4月から5月頃まで掛けます。春、桜が終わったころから香りのよい房状の花を咲かせます。藤はかんざしのような薄紫や白いたおやかな花をさかせます。草花ではなく、つる性の花木です。

藤の花や葉を意匠とした家紋「藤紋」があり、広く用いられています。

「万葉集」では古くから「藤波」という語が、藤の花が波うつ様をさす言葉として用いられ、これに触れた歌がほとんどです。

「枕草子」でも「めでたきもの」に、男性をたよる女性のすがたとして語られています。

「色あひ深く花房(はなぶさ)長く咲きたる藤の花、松にかかりたる。」(清少納言)

古来、藤は女性らしさの象徴とされ、対して厳格で力強い印象の松は男性らしさを表現した樹木とされました。

ところが、藤のつるとは丈夫なもので、他のつる性の植物と同じ様に民具の素材とされてきました。これを編んで籠や椅子をつくったり、天蓋に蔓を這わせて藤棚をつくり木陰で涼みます。古代から縄(なわ)の代用も果たし、筏流しの編筏にもなるといいます。

しなやかさとは、何にもまさる強さということでしょうか。

どんどん新しく生まれてふえていく藤は、力を加えられても折れずに柔らかく曲がり、他の樹木につるをどこまでも伸ばしていく様子から、長寿や子孫繁栄の象徴とされ、房状の花を稲穂に見たて豊作を願う縁起のよいものとされています。

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