3月の掛軸
3月にかける掛軸とは
弥生(やよい)。木草弥生い茂る月。3月3日にはひな祭り「上巳(じょうし)」の節句」があり、2月の立春から吹きはじめた春一番も春分まで南よりの風を吹かせます。春分の日を間にいれ春のお彼岸があります。下旬ごろからはお花見がはじまります。季節の掛軸は風物詩を感じるものを選びたいですね。
3月の掛軸は、梅(うめ)、桜(さくら)、桃(もも)、春蘭(しゅんらん)、木瓜(ぼけ)、菜の花(なのはな)、木蓮(もくれん)、福寿草(ふくじゅそう)、雪割草(ゆきわりそう)、芥子(けし)など種類が豊富です。
(画像) 掛軸 鈴木秀光 立雛
85,800円(税込)
掛軸商品
月の掛軸
3月。春。ここでは、季節掛け12ヶ月のうち、春にかける3月の掛軸として、お雛様(おひなさま)、梅(うめ)、桜(さくら)、桃(もも)、春蘭(しゅんらん)、木瓜(ぼけ)、菜の花(なのはな)木蓮(もくれん)の掛軸をご紹介します。
3月におすすめの掛軸の種類
3月におすすめの掛軸の種類には、1つには、節句の掛軸として、3月3日のひな祭り『桃の節句』、下旬からは5月5日の準備として菖蒲の節句『端午(たんご)の節句』の掛軸があります。
もう1つには、季節の節目に春を告げる花を画題とした季節の掛軸、それらの花と春を呼ぶ鳥の鶯(うぐいす)などを合わせた花鳥画掛軸なども、その1つに挙げられます。
3月の掛軸はいつからいつまで掛けるのですか
3月の掛軸を、いつからいつまで掛けるのかは
下記をご参考にしてください。(50音順)
梅(うめ) 12月、1月、2月、3月
芥子(けし) 3月、4月、5月、6月
桜(さくら) 2月、3月、4月
春蘭(しゅんらん) 3月、4月
菜の花(なのはな) 3月、4月
福寿草(ふくじゅそう) 2月、3月
木瓜(ぼけ) 3月、4月
木蓮(もくれん) 3月、4月
桃(もも) 2月、3月、4月
雪割草(ゆきわりそう) 2月、3月、4月、5月
お雛様の掛軸
3月の掛軸の種類には、ひな祭り(桃の節句)に床の間に飾る立ち雛(たちびな)や座り雛(すわりびな)などの節句の掛軸があります。
雛人形は座り雛が主流ですが、掛軸では歴史の古い立ち雛が多く見受けられます。3月3日にお雛さまの掛軸を掛け、女の子の健やかな成長を願い厄除けをします。
梅の掛軸
梅の掛軸は12月、1月、2月、3月頃まで掛けます。冬が明ける前にいち早く春の訪れを感じさせてくれる梅は、日本文化に馴染みが深く、昔からおめでたい花とされてきました。
春告草(はるつげぐさ)、匂草(においぐさ)などの別名をもち、その花の色は白、淡紅、紅色などがあり、つぼみのうちと開いたときの花の色のちがう美しいものもあります。
「かさねの色目」を彷彿とさせる微妙な花の色の変化は、平安貴族が着衣に自然の色をとりいれ、配色作法としたのも頷けます。馥郁(ふくいく)たる梅の香りともいわれ、匂いたつようです。
「四君子」のひとつであり、蘭、竹、菊、梅の4種のうちの冬の花として取りあげられ、早春の雪の中で最初に花を咲かせる強靭さに人々は心を打たれました。
「松竹梅」のひとつでもあり、松や竹と同じくらい縁起がよいとされました。「松竹梅」とは中国の「歳寒三友(さいかんさんゆう)」が日本に伝わったものです。
松と竹は寒中にも色褪せず、梅は寒い冬に花ひらくことから、「清廉潔白」と「節操」という文人の理想を表現したものでした。
慶事、吉祥の象徴として、おめでたいとされる日本とは違いますが、どちらも良いこと尽くめですね
掛軸としては梅だけを描かれるほか、新春には鶴と亀をとりあわせた「松竹梅鶴亀」や「紅白梅」、ほかに、漢詩から由来して「梅に鶯」はとりあわせがよく美しく調和するものとされ、仲の良い間柄にたとえられています。
(画像) 掛軸 竹内勝源 白梅
82,500円(税込)
桜の掛軸
桜の掛軸は2月から3月、4月頃まで掛けます。寒桜に添い、もうすこし早めでもよいでしょう。
夢見草(ゆめみぐさ)、徒名草(あだなぐさ)などの別名をもち、そのハラハラと風に舞う花びらが美しく、儚くも潔い様は、日本人の精神にもたとえられます。
白、淡紅、濃紅色の花の色。一重のものや八重のものが咲く姿は、まさに桜花爛漫です。小鳥と桜をあわせた桜花小禽図もとても愛らしいですね。
また、幾度となく散っても年を越しては蘇る樹齢千年を超える桜も見事です。私たちの国の花であり、同窓の友や僚友と別の道を歩み、新しい友と出会う節目に咲くことから、祝賀や記念の式典の折りに桜の掛軸を掛けることで、特別な日が更に印象に残る日となることでしょう。
(画像) 掛軸 中沢勝 三隅大平桜
桃の掛軸
桃花の掛軸は2月、3月、4月頃まで掛けます。
関西では桃の節句を旧暦で行う家も多いので桃花の掛軸の前に小さな雛人形を飾るのもおすすめです。
花色は白色、桃色、赤色があり、葉色の美しいものもあります。その咲き誇るすがたに桃源郷とはこのようなところかと浮世をはなれてみたくなりますね。
中国では神や仙人に力を与える木とされ、邪気を払うとされました。
ひな祭り「上巳(じょうし)の節句」に桃の花を飾ったのも同様の意味合いがあったため、桃の掛軸をこの日に掛けるとよいですね。
その果実は、日本神話や古事記の中でも魔除け、厄除けの意味を成しました。また、桃は兆の字の如きと、子に多く恵まれるともいいます。
(画像) 掛軸 辰本青花 桃の図
春蘭の掛軸
春蘭の掛軸は3月、4月頃まで掛けます。春蘭の花は横を向いて咲き、萼片(がくへん)と側花弁(そくかべん)は黄緑か緑でつやがあります。唇弁(しんべん)は白色で薄赤紫色の斑点があり、溝のようで縦にひだがあり、くるりと巻き込む。葉は細長く曲線を描く。野生種であり、その野趣や素朴さが好まれますが、そのすがたは凛としていて格好よく、あくまでも流麗で美しい。
「四君子」のひとつであり、春の花としてほのかな香りと気品をそなえるとされました。中国で君子とは徳と学識、礼儀を備えた人を指しました。蘭、竹、菊、梅の4種の持つ特徴が、まさに君子の特徴と似ていることから、文人たちはこれらの花に強い憧れを抱きました。
憧れる対象とは素晴らしすぎるもので、目指してもその境地にはなかなか到達しない。そこで文人墨客(ぶんじんぼっかく)は、そのすがたを散文、書画の題材にしてなぞらえました。
目を澄まし模倣することで、理想のすがたとの間に均衡を保ち心を浄化しました。春蘭の花が横を向いて咲くすがたは、気高い人がそっぽを向いているようで、どこか可愛らしいですね。
春蘭茶は桜茶と並んでおめでたい席には欠かせないものです。摘みたての春蘭を塩に漬け、お湯をそそいでいただくお茶とは何と風流でしょうか。その花は、日常でも和え物や天ぷらにしたり惣菜の添え物にしたりと、日々の生活を楽しませてくれます。
蘭湯(らんとう)は中国から伝わったもので端午の節句の日に春蘭の葉をいれて沸かした湯につかると邪気を払うとされ、菖蒲湯のはじまりといわれています。
春蘭の掛軸は、春のおとずれを告げ、人々の理想のすがたを表し、清々しい世界を見せてくれることでしょう。
(画像) 掛軸 塚下静庵 春蘭
木瓜(ぼけ)の掛軸
木瓜の掛軸は3月、4月頃まで掛けます。和名は中国産のマボケの漢名である木瓜(ぼくか・ぼっか)から転じたともいわれます。花は白木瓜、緋木瓜、紅白絞りの更紗木瓜や、覆輪(ふくりん)のあるものなど趣があります。一輪の花に真紅の花、真白い花、絞りの花を咲き分けて楽しませてくれる日月星(じつげつせい)などがよく知られ、庭木や盆栽としても好まれています。
花言葉とは不思議なものですね。いつ、誰が、どんな意味でつけたのでしょうか。木瓜の花言葉は「先駆者」と「平凡」。いろいろな説がありますが、先駆であることも平凡であることも、なかなか辿りつけない素晴らしい境地ですね。
木瓜の掛軸は梅や桜のような気高さはなくても、ほのぼのとした愛らしさがあります。
菜の花の掛軸
菜の花の掛軸は3月、4月頃まで掛けます。菜の花とは食することができる花という意味です。菜種、蕪(かぶ)、白菜、芥子菜(からしな)の花です。成長過程で青菜から菜の花、そして菜種へと呼び名をかえます。この春をよぶ花は、食すと何とも言えない優しい味がしますね。
黄色い花の印象がありますが、大根などは白い花を咲かせます。もっとも、掛軸に描かれるのは殆どが黄色い花です。人々に愛されて俳句にもたくさん詠まれています。
「菜の花が しあはせさうに 黄色して」(細身綾子)
一面、黄色の菜の花畑は圧巻ですね。ほんとうに幸せそうです。
(画像) 掛軸 窪田正廣 菜の花
木蓮の掛軸
木蓮の掛軸は3月、4月頃まで掛けます。蓮の花に似ていることから木蓮と呼ばれるようになりました。紫木蓮と白木蓮、更紗木蓮、黄木蓮があります。花の香りがとてもよいです。一億年前の化石があり地球上で最古の花木といわれています。
木蓮は昔からたくさんの絵師に描かれ、俳句にも詠まれました。
「木蓮の 花ばかりなる 空を瞻(み)る」(夏目漱石)
目を大きく開いて木蓮が咲くはるか空を仰ぎ見る。木蓮の花は天に向かって直立します。
それは仏が両手を天にのばす姿に似ていることから仏手にたとえられます。
(画像) 掛軸 木本大果 木蓮
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